そんな大宴会も佳境に入り、終わりにさしかかろうとするとき、また店に誰かが入ってきた。

「あれ、秀明さん。もう宴会終わりますよ」

「父さん、今日は用事があって来れないんじゃなかったの?」

普段よりだいぶやつれた顔をした秀明が入ってきた。
いきなり来た彼に声をかける洋子と陽。それに言葉する返さず手をひらひらするだけで、秀明は何も言わずに階段を上って行った。

「……?」

首をかしげる二人。
冬矢は酒がすすみ、その白い頬は瞳と同じように紅く染まる。

「上で恭子がいるからな。なんか約束あったらしいぞ。……あ、いけね」

口を滑らせてしまった。

「それっ、どういう事ッ!?」
「恭子さんと父さんが約束?」

一気に畳みかける二人。隣の方では、烏丸もむせていた。


「……ないしょー」

酔っぱらいの二代目はケラケラとおどけてみせる。
なんかむかつく。


「ま、そんな三人が気にするような色っぽい話じゃねぇよ。……多分」

「多分じゃ困る!」

フォローにならないフォロー。そのあとに尚更騒ぎ立つ女たちプラス男。
こんな賑やかな騒ぎもまた終盤に起きた。