「宏治ー,会えなくて淋しいよ」
ある夜,宏治との電話で甘えてみた。
といっても恥ずかしかったから,冗談っぽくなってしまったけど―言ったことは,紛れもない私の本心。
「そりゃあ俺もだって。1年も卒業式出させろってな」
とがった声で宏治が言う。
思わず頬がゆるみ,心の中でそっと呟いた。
愛しいなあ―…。
「あっ,じゃあさ,明日俺んち来る?」
突然,宏治が提案した。
「…えっ?」
「明日土曜だろ?午前で部活終わんだよ。だから俺んち来て?」
「うっ…うん…」
脈拍が,普段の倍は速くなった気がした。