時間は過ぎる。
人はただ,その流れにのるしかない。
神さまに時間を止めてと祈っても―…時間は止まらない。
それとも,神さまですら止められないもの…なのかも。
私も,何度も祈った。
「時間を止めてください」―…
私が怖かったのは近づいてくる受験なんかじゃなくて,卒業だった。
正確にいうと,卒業によって訪れる―宏治との別れ。
3月3日,ひな祭りに本命の公立の入試が終わった。
あとは,2週間後の卒業式に向けた練習をするだけ。
卒業式に出る在校生は2年生だけだったし,3年生は卒業式の練習が終わったら帰らされるわけで。
私は全然宏治に会うことができなかった。