私と宏治は様々なことを乗り越えて付き合うに至ったものの,時はすでに1月の後半だった。
私はちょうど3週間後にすべり止めの私立高校の入試を控えていたし,それが終われば本命の公立の入試まで2週間ほどしかない。
そういうわけで,私は付き合う以前のように宏治と放課後に話すことはせずにまっすぐ家へ帰っていた。
また,私は決して器用な人間ではないために勉強をしながらメールをすることができなかった─そうすると必ずどちらか一方がおろそかになってしまうのだ。
けれども,週に1度だけ…金曜日には,前と同じように東階段で一緒に過ごすようにした。
そうじゃないと,お互い耐えられなかったからだ。