私は,宏治と付き合うことになったのを,志甫よりもまず和哉に知らせた。
親友を差しおいてまで和哉にいちばんに知らせるのにはわけがあった。
というのは,河原でキスをしたあとに宏治がこんなことを言ったからだ。
「俺,和哉サンに感謝しなきゃなんだ。」
私は不思議に思って聞き返した。
「和哉?どうかしたの?」
宏治はちらりと私を見て軽く笑うと答えた。
「和哉サンが電話くれたんだ。彩夏とこのまま終わらせていいのかって。そんでいろいろ話聞いてくれてさ。じゃなきゃ俺,今頃彩夏とここにいねぇよ。」
和哉―私にも電話をくれた。
宏治にも―…。
私は宏治の話を聞きながら,足元をじっと見つめていた。