電話の向こうで,和哉は私の本当の気持ちに気づいたようだった。
「彩夏は…このまま終わらせていいの?ていうか,むしろ俺が納得できねぇんだよな〜…」
半ば独り言のように最後の言葉をつぶやくと,和哉は電話を切ろうとした。
「じゃあ,俺はそれだけ言い…」
「あっ,待って!」
私が慌てて呼びとめると,和哉はいぶかしむように尋ねた。
「なんだよ?」
「宏治がおかしかったって…どんな風に?」
私がおそるおそる聞くと,和哉はうーんと考え込んだ。
「なんか…暗かったんだよな。あの宏治がだぜ?それに,ムードメーカーのあいつがずっと黙りこくって一言もしゃべらねぇし。時々ふと泣きそうな顔になるし。おかげで部活全体が暗かったわ。」
それを聞いた私は,胸が痛みにうずくのを感じた。
「ありがと。それじゃあ…。」