冬休みが終わり,再び学校が始まった。クラスの人─というより学年全体が,高校受験に向けていよいよ本気になっていた。
けれども,私はそれどころではなかった。
あの日─もちろん,人生最悪のクリスマスを指すが─宏治に別れを告げられて呆然と立ち尽くす私に,志甫は真っ青な顔で謝った。
「彩夏のこと,なにも考えてなくて…小林と会うって,聞いてたのに。本当ごめん,あたしは何を…」
「いいの。」
私は虚ろな声で遮った。幾度もまばたきをするのは雪のせいじゃなくて涙のせいだったけれど,志甫にそれを悟られてはいけない,と強く思った。
「それに,志甫のせいなんかじゃない。ここに来るのを決めたのは,私だから。」
志甫はまだ何か言いたげだったが,私がぷいと川に顔を向けてこの話が終わったことを示すと,結局なにも言わなかった。
恋人たちの目には素敵に映るであろう聖なる日を白く染める雪が,頬に一片落ち,私の涙でとけて―消えた。