私は何事もなかったかのように友達と合流し、笑い合いながら家路についた。

あとになって考えてみれば、私が小林くんと接触していたのなんてほんの1分にも満たない。

そんなわけで、友達は私の身に降りかかってきたちょっとしたドラマには全く気づいていなかった。

けれどもそれはむしろラッキーなことだった。

なぜなら小林くんは、あの紙を「1人で読んでください」と言ったからだ。

つまり―
「誰にも言うな」。

私はそう解釈した。