今度は,私が反撃に出た。
「へーえ,じゃあ志甫はクリスマスに雄平君と初エッチでも済ますんですねえ?まっ,せいぜい頑張ってね!」
志甫にすさまじい顔で睨まれたために私はそそくさとその場を離れたが,実際本当にそうなってもおかしくないのに,と思っていた。
というのも,志甫が今の彼氏と付き合ってもう1年と2ヶ月が過ぎていたからだ。志甫の彼氏,中村雄平は2組で,元野球部のエース。顔は整っていて,背はすらりと高い。おまけにみんなの笑いをとるのが上手く,志甫同様,だれからも好かれていた。
私は志甫と雄平君はどんなクリスマスを過ごすのだろう,と想像を巡らせた。もしかして映画館で会ったりして,と考えて思わず吹き出す。まあどうなるにせよ,今年は私も志甫もおそらく大好きな人と,素敵なクリスマスを過ごせるはずだ。
─しかし,結論から言うとそうはならなかったのである。

クリスマスまで,あと2日―…。