そう、季節はもう冬。
宏治との仲は順調に深まっていた。
まるで、男女間の壁を超えかけた親友のように。

私はつい先ほどまで胸の内で温めていたくだらない反論を捨て、しょんぼりして肩を落とした。

「ねえ和哉…宏治は友達になりたくて私に声をかけたの?」

最近何度も考えていたことを、和哉に問いかける。

急に本心を見せてへこむ私に、まあ座れとばかりに自分の隣の椅子を指し示す和哉。
大人しく私が従うと、和哉はやりかけの数学の宿題をぱたんと閉じた。

時は放課後。
志甫は雄平君と共にすでに帰っていたし、受験モード全開の皆は塾三昧。
クラスの中で塾に通っていないのは、実のところ自力派の私と和哉だけだった。
そんなわけで、私が放課後少し勉強していこうかな、なんて思ったときは必ずといっていいほど和哉もいて、2人きりになる機会はずいぶんあった。

元々普通のクラスメートとしてある程度会話はしていたものの、和哉が元サッカー部だったこともあって、私は次第に宏治のことを相談するようになっていた。
今だってそう。