時間の流れははやいもので、秋が過ぎた。
通りの葉が色づき、美しく紅葉し、はかなく散ってゆくにつれて、高校受験へのムードが高まってきた。
当然私も進学するつもりだったから、勉強には身が入っている…はずだった。

教室の窓から見える裸の木々はとても寒々しかったけれど―あえて言うなら、私の心も寒かった。
ひょっとすると、あの通りの木に引けを取らないくらいかもしれない。

「ありえねえ!」

―そう叫んだのは、同じクラスの元サッカー部、安保和哉だ。

「いやいや、マジありえねって」

今度は冷静に繰り返す和哉を、私は不機嫌丸出しでにらみつけた。
和哉はその視線にもちろん気づいているのだろうが、そんな素振りはちっとも見せずに哀れむような目で私を見た。

「…何なのよその目は」

冷たく言い放ち、つんと顎を上げる。

「だってもう冬だぜ?お前今まで宏治と何やってたわけ?」

和哉のその言葉に、うっと詰まる。