夏が来る頃には、私と宏治の仲は相当縮まっていた。
今思うと、あの日とっさに「淋しい」と素直に伝えられてよかった。
それも私たちの距離を縮めるのに一役買ってくれた気がするのは、私だけだろうか?

そんなわけで、私は当然夏最大のイベントである夏祭りは宏治と行くものだと思っていて、宏治が誘ってくれるのを心待ちにしていた。
毎日の放課後一緒に過ごす時間や、夜にメールする時間。
ずっとわくわくしながら待っていたのだけれど―。

「今年の夏祭りって、8日から10日までなんだってな」

ある日、とうとう宏治の口から「夏祭り」というキーワードが出てきたので、私はぱっと顔を輝かせて勢いよく頷いた。

「そうみたい!」

それだけ言って、次の宏治の言葉に期待を寄せる。

ところが。

「はあー。俺ちょうど遠征なんだよ。彩夏と行こうと思ってたのにさ」

―そんなわけで、私は親友で同じクラスの宮部志甫と一緒に夏祭りに行くことになった。