まっすぐに私を見つめるその眼差しに、鼓動がひとつ、大きく脈打った。

綺麗なその黒い瞳に怒りは見られず、ただ私自身の顔が引き伸ばされたように映っている。

そうやって視線を重ねていたのはたぶんほんの数秒だったのだろうけれど、私の中でその時間はゆっくりゆっくり過ぎていった。

なぜだか、このままずっと宏治の目を見つめていたくて―。

「ごめん」

突然、宏治が口を開いた。

「そんなふうに思ってるなんて、知らなかった」

「ん…」

急に恥ずかしくなって、適当に返事をしてうつむいた。
宏治のまっすぐな瞳、まっすぐな言葉は、私の心の奥底まで届いたから。

「彩夏」

名前を呼ばれて顔を上げると、いつの間に寄ってきたのか、ものすごく近くに宏治がいた。
たとえば私がちょっと頷くだけで、顔と顔が触れるんじゃないかってくらい。

そして、宏治が私の頬に―
そっと、手を触れた。