途端に小林くんと目が合った私は思わずぎょっとして立ち止まり、動揺を悟られないよう祈りながら口を開いた。

「ごめん、待った?掃除が長引いちゃって…」

掃除を長引かせた張本人はまさに私だったが。

そこで私はやっと、初めてまともに小林くんを見た。

おそらく今日も部活なのか、ウインドブレーカーを着ている。

驚いたことに、私よりも背が高い。
私は背が高いほうであったため、入学したての1年生の中で私より身長がある人は珍しかったのだ。

そして小林くんは―
綺麗な整った顔に、すごくすごく優しそうな、綺麗な目をしていた。

こんな子が私なんかに声をかけたなんて、何かの間違いとしか思えない。

しかし小林くんは、その優しい目を細めてにっこりした。

「今来たばっかりです。」

―その瞬間、その笑顔に、恋をした。

その時はまだ、気づいていなかったが。