もう何年前のことだろう。
あの頃、私はまだ中学3年生だった。

6月。
北海道に憂鬱な梅雨はなく、頭上には青空が広がっていた。

6月といえばまだまだ夏からは無縁。
まるで春のようなぽかぽか陽気で、道端のたんぽぽも気持ち良さそうに頭をもたげ、陽光をいっぱいに浴びていた。

「今日って春みたい!」

そんなことを言いながら、私は友達と玄関に向かっていた。

今日は5時間授業だったから、早々に帰宅できる。

その嬉しさも手伝って、私の気分は上々だった。
他愛ないおしゃべりをしながらのろのろ歩く私たちを、グラウンドに急ぐサッカー部や野球部が次々に追い越していく。

そんな人たちを意味もなく目で追いながら、私たちはそれぞれの靴箱へと向かった。