「ねー、私、田端さんと遊んだよ」
3月の半ば。 ある日の休憩中に春海がさえに言った。 少しおどおどと言いにくそうにする春海は、きっとすごい勇気を振り絞ってさえにいったんだと思う。
“なぜ遊んだの?”
そう言われるのが恐かったからだ。 すこしでも正義に対して嫌悪感を抱いていた人間がその相手と遊ぶなんて。
だけどさえは意外そうな顔をいっさい見せずに言った。
「そうなの?」
逆に嬉しそうに尋ねてくる。
「いつ?」
「うん。 2月のおわりなんだけど・・・」
「そうなんだ! なんで教えてくれなかったの!?」
と、さえは大笑いしながらカツ丼定職を頬張った。
「え~。 だって、なんか言い出せなくって・・・。 あれだけ田端さんなんてって言ってたのに・・・」
さえの食べる手が止まった。
「・・・好きなの?」
「ううん」
春海はうつむいたまま首を横に振る。
「わからない」
「・・・」
3月の半ば。 ある日の休憩中に春海がさえに言った。 少しおどおどと言いにくそうにする春海は、きっとすごい勇気を振り絞ってさえにいったんだと思う。
“なぜ遊んだの?”
そう言われるのが恐かったからだ。 すこしでも正義に対して嫌悪感を抱いていた人間がその相手と遊ぶなんて。
だけどさえは意外そうな顔をいっさい見せずに言った。
「そうなの?」
逆に嬉しそうに尋ねてくる。
「いつ?」
「うん。 2月のおわりなんだけど・・・」
「そうなんだ! なんで教えてくれなかったの!?」
と、さえは大笑いしながらカツ丼定職を頬張った。
「え~。 だって、なんか言い出せなくって・・・。 あれだけ田端さんなんてって言ってたのに・・・」
さえの食べる手が止まった。
「・・・好きなの?」
「ううん」
春海はうつむいたまま首を横に振る。
「わからない」
「・・・」