AM 7:00



プルルルルル・・・



「う~ん・・・」



さえの夢の中で、どこからともなく電話音がなっている気がする。



(何だー・・・?)



さえがしかめっ面のまま目を少し開けると、ちょうど春海が部屋の備え付け電話をとった。



「はい・・・」



(あ~、そうか。 昨日、モーニングコール予約したっけ・・・)



寝ぼけながら起き上がるさえ。



『おはようございます。 七時になりました』


「あ、おはようございます」



さえはちらっと春海を見た。  春海は丁寧に電話を両手で持ちながら、電話の相手と話している。



(あれ? フロントかな? なにかしたっけ・・・)


「・・・。 あ、はい。 あの、ですからもう起きましたよ?」


(え?)


「あのー。 もう起きてますのでー」



ずっと同じ事を繰り返し答えている春海に、さえは恐くなった。



「は、春ちゃん?」



春海は「ちょっと待ってください」と電話の相手に言い、受話器から耳をはずした。