「お風呂ゆっくり入ってきていいからね☆」


「はい、はい、わかってるよ」



春海はパジャマと下着、歯ブラシを持って風呂場へ向かった。 そして風呂場のドアのノブに手をかけたとき、さえはベッドから起き上がって笑った。



「あ、でも、ゆっくりって言っても、2時間とかはダメだからね!」


「えぇー! も~! さすがにそれはないよ~!」



バカにしすぎーと春海は笑ったが、やはり彼女はおバカさんだった。



「そうだね。 0・5時間だよ!」


「え?!」(本当にこういう子がいたんだよ。 しかも素でいってたから大爆笑)



相変わらず面白い子だ。 きっと、彼女は箱入り娘に違いない。



―・・・



30分後、確かに春海は「ふ~、さっぱりー」といいながら時間どおりでてきた。 彼女は大きなダサイ黒ブチ眼鏡をかけている。 が、拭いても拭いても、温まった体温のせいで、レンズが白く曇ってしまっていた。



―・・・



「お休み~」




春海はさえが風呂から出てくるまで観光雑誌を読みながら待っていた。



疲れていた2人。 すーっとベッドに吸い込まれるよう、スグに眠りに入る。