「新年明けましておめでとうございます」


(新年明けたってなにもかわらねーよ。 どうでもいいっつーの)



だから良いことなんて無いんだって言われても、正義は人間の考えた神秘なんて信用できない。 (だがそのわりには願掛けをする奴)



「じゃ、また遊びに来るね~」



加奈ご一行はお年玉だけを頂くと、昼過ぎにはドタバタ帰っていった。 次は旦那の実家へ。



「あー、明日はおじさん達の家に行く日だからね。 向こうの田端家もくるんだっけ? そうだ! 実家にも電話いれなくっちゃ」



母親は親戚中に「今年もよろしく」の電話を入れ始めた。 “新年早々”忙しい人だ。



その後ろでコタツの中に入りながら寝そべっている父親。 頭をぼりぼりかき、テレビを見ながら正義に声をかけてきた。



「加奈たちは神社へお参り行くって言ってたけど、正義は誰かと行かないのか?」


(うわ・・・)



ストレートすぎる質問には、曖昧な事を返そう。



「う~ん・・・。 だるいし~」


「そうか」


「・・・」



正義は黙って立ち上がり、自分の部屋に閉じこもる事にした。



(そうだ~。 さえちゃんにメールしよ~)



いちかばちか。 さえを誘ってみよう。




“今年”こそは頑張らなければ!(←何だかんだいって、ちゃっかり意識している奴)