正義豆知識
その16


彼は何度も何度もメールを送る。 自分は返信遅いのに、相手の返事が10分以内に帰ってこないと、また別のメールを送りつける。



しかし1分たってもー、1時間たってもー、返事が来なかった。



(くそ~! なんなだよ、あの子は!)



ふてくされながらベッドにもぐりこんだ。



―・・・



チュン、チュン。



小鳥のさえずり。 目の前が明るくなっていく。 



(・・・ココは、ユートピア?)



目をかすかに開ければ目に映るものは天井のみ。 眩しい朝の日差しがカーテンからこぼれてきただけ。



「・・・」



今日もまた仕事。



(う・・・。 めんどくせ~)



身体が脱力感に襲われている。 夢も見た気がするけど覚えていない。



正義は枕もとに置いてあった携帯電話を見た。 



「・・・」



やはり春海からの返事はない。


正義は静かに携帯電話を足元に置いて、洗面所へ向かった。