「祥平・・・
俺もお前みたく気が
動転していたかもしれない・・・。」

「えっ?」

兄貴の意外なことばに俺は、
驚いて話すのをやめた。

「お前の言うとおりだ。
今回の捜査手法は、
ちょっとおかしい。

俺は、
身内のお前が容疑者だと
告げられた時から、
たとえ身内が犯人だとしても
冷静に捜査しよう。

そして、
最後はきちんと
けじめつけようって
そればかり考えていた。

だから、
上からの命令にも
捜査の仕方にも
何の疑問も持たなかった。

そう思ったときから、
俺も冷静でなかったかもしれない・・・」

ベットの向かいの
いすに座りながら、
恐ろしく
真剣な顔で兄貴は話を続けた。

「そう、 上の判断では 、
お前はもう、
ドラッグの関係者の一人として
認識されていた。

通報だけでの判断ではない。

別の要因も働いていたんだ。

俺は、
その要因が何かを知ろうともせず、
今回の捜査に加わった。」

「んな無茶な話って、あるか?」

俺は、あきれた。