コイツにこんな顔されたら、
もう断れない。

俺は、
沙南から手紙を受け取って
カバンにしまった。

手紙のことは、
正直どうでもよかった。

久しぶりの沙南との帰り道。

だれにもジャマされたくなかった。

家までの
ほんの20分たらずの
二人だけの時間。

俺には なによりも
大切な時間なんだって
ちゃんとわかっていたのに、
あの時は、
自分の気持ち、
ホント 分かってなかったんだよな。

それに・・・
あの時、
すぐに手紙を開けていれば、
事は簡単だったんだ。