でも、
部活終わって
俺が裏門に向かって坂を下っていた時、
アイツは 猛ダッシュで
坂を駆け上がっていた。

アイツが
あんなに急いでいる時は、
たいてい顧問から呼び出された時だ。

顧問に呼び出されたんだとしたら、
しばらく待たされるな。

しょうがいないか。

裏門で待って10分後、
アイツが来た。

思っていたより早かったな。

「ごめん。待った?」

両手を合わせて
謝りのポーズをしている沙南は、
いつもより可愛く見えた。

「いいって。
オマエ、浦先に呼び出しくらってたろ?
短い足をフル回転して
ダッシュで坂道登んの 見てたから。」