俺の初めての恋なんだ。

簡単にあきらめられかっ!

かならず、
ふり向かせて見せる!

それなのに、
なに逃げ出してんだよ?

俺は、正々堂々と
自分の気持ちを沙南に伝えたい。

そうだ。

俺の気持ち、伝えるんだ!

手紙をたたんで
ポケットにしまうと、
俺は、ふたたび
学校を目指した。

ちゃんと伝えなきゃ、
何のために危険をおかして
部屋から抜け出してきたんだか、
わかんないじゃないか。

もうすぐ
学校が見えそうなとこまで来た時に、
向こうから歩いてくる一平が見えた。

駆け足だった俺の足は、
急ブレーキがかかったみたいに
遅くなった。

今は一平には会いたくなかった。

俺の心の中は、
一平に対する嫉妬で
ぐしゃぐしゃだ。

沙南をとられたショックが
大きすぎる。