奈々美は、
そう言い放つと、
駆け足で去っていった。

「奈々美っ!」

大声で呼んでみたけど、
奈々美は振り返らなかった。

あっという間に
公園の角を
曲がって見えなくなった。

なによっ!

奈々美、勝手だよっ!

自分の言いたいことだけ言って、
いなくなるなんて。

これじゃあ、明日の朝、
私、
行かなきゃいけないじゃん。

もう、祥平への
恋の橋渡しなんかしないって
決めたのに。

それに・・・どうしよう。

手紙を渡せてないこと、
結局、言えなかった。