ちゃんと言えたんだ。

「羽瑠、がんばったよ?
泣きながらだったけどさ、
ちゃんと自分の気持ち、
一平に伝えてた。」

郁美がそのときの様子を
思い出しながら言った。

「で、一平は?」

「ごめん・・・って
・・・今は、
こたえられないって・・・」

話す郁美の声が消えそうになる。

そうか・・・ 一平だって、
沙南にふられたばっかで、
羽瑠の気持ちに
こたえることなんて、
できないよね。

「でも、一平、
“今は”って、
言ったんでしょ?」

優衣が確かめると、
二人は顔を見合わせて
コクッとうなずいた。

「「う、うん・・・」」

「なら、大丈夫!
きっと、羽瑠の気持ち、
一平に届くから!
ちょっっと時間が
かるかも知んないけど。」

「「ほんとぉ~???」」

二人は、半信半疑で聞き返した。