ドアが開いて、
警官が部屋をのぞきこむ。

薄手の掛け布団を
頭からかぶって
警官に背を向けている俺。

警官は、じっと俺を見ていたが、
俺が動く気配がないのを見届けて
そっとドアを閉めた。

「祥平君、寝ているみたいですね。」

ドアの外で話し声がする。

「はぁ・・・、き、今日は、
いろいろあったので、
息子も疲れたのかも
しれないですね・・・。

皆さんにも、
ご苦労をおかけします。

あとで、飲み物をお持ちします。」

トントントン

母さんが階段を
下りる音を聞きながら、
俺は、静かに起き上がった。

とにかく、
ここから抜け出すことを考えよう。

部屋中のクッションやら
毛布やらを集めて、
ベットの上で人の形を作ると、
上から布団をかぶせた。

こうしていると、
俺はベットで
寝てるようにしか見えない。

時々、こっそり遊びに行く時
やってるアリバイ工作?

こんな時にも役に立つなんて、
思いもしなかった。