「お腹空いたね。」
部屋に戻ってカーテンを閉めた。だいぶ遅い時間になっていた。
「シズク。」
ソファーの上、カズ君が真面目な顔で私を呼ぶから何も言わずに隣に座った。
「もっともっと大事にする。見合う男になる。シズクに追いつくから…。」
「うん。」
「ミドリさん見てるとなんか焦るんだ。…言わなくても分かりあってるから。
そうなる、って言えない。けど、俺なりにがんばるから。」
「うん。……私ね、カズ君が好きなの。だから、ミドリ君みたいになってほしいとは思わないよ。」
「そっか。」
そう言って、カズ君は私にキスをした。触れるだけの、やわらかいキス。