カランカラン 「あ、シズク…ちゃん。」 「来ちゃった。」 その日、私はミドリ君のところへ行った。あの日以来だ。 「まだ開店前なのにごめん。」 「いいよ、シズクちゃんなら。なにか飲む?」 「ココア。」 やれやれ、なんて言いながら、ミドリ君はココアをいれてくれた。 「本当にココア好きだな。」 子供の頃、お母さんがよくいれてくれたから。 「おばさん、元気?」 これだから旧知の仲は嫌だ。 なんでも知ってるんだから。