恋なんてしたことなかった。
“恋”なんてしたことなかった。
しなくてもいいと思ってた。
でも、してないだけで違うものだった。
「心優、ごめん。いってもわかってもらえないと思う」
少しずつ落ち着きを取り戻したメグはそういった。
確かにわからない。
いつもそうだった。
教室でよく盛り上がる会話。
いわゆる“恋バナ”ってヤツ。
わたしにはなぜ楽しいかわからなかったし、
話に加わろうとはしなかった。
所詮、恋なんて。
わたしは今まで恋を後回しにしていた。
いつか忘れたけど誰かが言ってた。
『恋は一瞬。友は一生』
わたしはそれを信じた。
今も信じてる。
でも今、それが裏切られそうになっている。