「…大丈夫?」
わたしが声を掛けたのは、2年B組の藍野愛。
「……心優」
涙で潰れそうな瞼をわたしに向けた。
今日は3年生の卒業式。
わたしは泣いている愛の姿を見て声を掛けずにはいられなかった。
愛こと通称メグ。
そんなメグが影まで隠して泣いているのには理由がある。
「メグ、話してみてよ」
わたしはメグの肩に手を置いた。
微かに震えていた。
「みっ…心優にはわかんないよ」
メグの頬からまた一粒涙が伝った。
「…どうして?」
「だって……」
涙が発言を邪魔するかのようにして流れる。
「心優、恋…したことない…でしょう?」
イラッときたけど、図星だった。
悔しかったけど、本当のことだった。
「ど、してっ…。そんなこというの?」
わたしは動揺するようにいったせいか、声が裏返った。
友達の役に立てないのが、悔しかった。