……伝えようとすれば。
伝えようとする気持ちがあれば。
「……絢音」
悠里は、絢音の背中に全神経を集中させた。
「絢音、絢音、絢音」
繰り返し、絢音の背中に呼びかける。
絢音は泣くばかりで、返ってくる反応はない。
それでも悠里は諦めなかった。
「絢音、俺だよ、悠里だよ」
届け、届け、届け。
「なぁ絢音、こっち向いて」
届け、届け、届け、届け。
「絢音……頼むから」
気づけ、俺はここにいる。
ここにいるから、
「文弥を諦めんなよ」
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