「高校に入って悠里が彼女作ったのもそういうことだろうと思って。俺、このまま悠里に甘えてるままじゃ駄目だ、って。踏ん切りつけようと絵梨子と付き合い始めてさ。……結局、ここまでズルズル続けて」

絢音は静かに頷く。
文弥は自嘲するように口角を上げた。

「この前、絵梨子に言われた。考えててもいいんだよね?って」

悠里は、黙って文弥を見ていた。
情けなく笑う文弥は今にも泣きそうで、

「…俺、結婚とか、そういうこと全然考えてなくてさ。そのとき、答えられなかったんだ」


……一杯一杯だった。