「『大事』……って?」 「悠里くんの未練が解消できるかできないかの分かれ道がここだ、ってこと。2人の人生にも、きっと大きく関わってくる」 悠里の額に、汗が滲んだ。 嫌な汗だった。 ……どうしよう。 ふと、そんな弱気な思考が頭をよぎった。 …どうしよう、って、何が。 心の中で自問する。 わからない。 でも、どうしよう。 …俺は、恐いのか。 怯んだ自分を、もうひとりの自分が責め立てる。