すると突然、教室の風景が滲んで溶けだした。 溶けて消えながら、また新しい風景を形作っていく。 夜景。建ち並ぶ店々。 自動車の騒音。 行き交う人の影。 そして、その中に、 文弥と、絢音。 2人とも大人になり、少し雰囲気が変わっていたが、それでも文弥と絢音だと一目でわかった。 仕事帰りに飲みに行く最中なのか、スーツに身を包んだ2人が並んで歩いて来る。 悠里の死後から数年が経った世界のようだった。