「…列車は、一本先送りだね」

天野は、やれやれというふうに笑った。

映像の中での時間の経ち方と、駅での時間の経ち方には差がある。
そのことには薄々気づいていたが、

悠里の未練を完全に解消するには、1時間では短すぎたようだ。

「ここまで来たら最後まで付き合いますよ、悠里先輩!」

悠里の背中に、天野の喝が入った。

悠里は固く頷く。

文弥と絢音は必ず元通りになる。

その確信があった。