瞳を開けると、一つの窓の前に立っていた。
窓の向こうには、眩しい日差しと綿のような雲の道が続いていて、雲の切れ間から見える海面がキラキラ輝いていた。
言葉も出ない綺麗なその光景に胸が高鳴った。
それと同時に、これが夢だと気付く。
この夢を最近は見なくなったが、那佳は幼い頃から繰り返し何度も見ていた。
ふわり、と浮いた身体。
次の瞬間には、地上数mの空に浮いている。
眼下に広がる大地には、様々な絵や文字らしいものが描かれている。
今まで何度と見たことのある光景。
いつもと違うのは溢れた涙と、言葉には出来ない喜び。
そして、温かい気持ちだった。