「これは何?」

一足先に食事を終えたスカルに、那佳はまだ手をつけられてないミニトマトらしきものを指差した。


「ヴェリコーゼ、果物だよ。」
「ヴェル、ヴェリ…?」
「“ヴェリコーゼ”。このヘタを取って、このまま食べれるから。…ん、甘い。」


一粒取って食べてみせたスカル。那佳も同じようにして口に入れる。

一度かじると、甘い果汁が口内に広がり、その実はゼリーのようにプルッとしたもの。
固く残ると思われた皮も、実と一緒に溶けるようになくなった。


「お、美味しい!」

自然と手は伸び、二つ目を口に入れる。
クスクス笑いながら見ているスカルに気付かない程、那佳はヴェリコーゼに夢中だった。




食事を終えた二人は、その部屋を出て、赤い絨毯の部屋に戻っていた。
二人は向かい合ってソファーに座り、ギイが新たに煎れたアモリーベのお茶を飲みながら話していた。


「スカルさん、聞きたいことがあって…」
「何?」
「色々分からなくて…スカルさんが捜していた人って、私…?」

那佳の問いに、お茶を一口飲み、頷くスカル。


「そうだよ。僕は君を捜していた。そのことについて、きちんと話さないといけないね。」

真っすぐに見つめてくるスカルに、那佳自身も無意識に背筋が伸びた。
あまりにも強く真っすぐ向けられる瞳から逃げ出したくなる気持ちになりながらも、那佳は瞳を反らさず見つめ返した。