「あなたは?」
スカルが出て行くのを見届けた佐和子は、すぐ隣にいる人物へ視線を移した。
「オレはギイと申します。」
「あたしは佐和子。あっちは那佳だよ。」
「あ、金沢那佳です。」
展開についていけなかったが、「初めまして」と丁寧に頭を下げるギイに慌てて那佳も頭を下げた。
「お疲れでしょう。部屋までお送りします。」
穏やかな口調で告げるとギイは、先に部屋のドアを開けた状態で二人を待った。
慌てて部屋を出る那佳とマイペースな佐和子。
スカルが話している間、ギイは観察するように二人を見ていた。
そのことには、スカルさえも気付いていない。
那佳が目を覚ました部屋は、彼女のために用意されたらしく、佐和子の部屋も二つ隣に位置する。
部屋まで送ったギイは廊下を戻っていく。
その後ろ姿を見ながら、那佳は長く静かに息を吐いた。
先に那佳の部屋に入った佐和子は窓辺にいた。
「宇宙ってこんなに真っ暗なんだね‐。」
佐和子の言葉にゆっくり歩み、那佳も隣に立ち、窓の外を見る。
「本当なのかな…」
「何が?」
「ここが宇宙ってことも宇宙船ってことも、それに…」
那佳は“見つけた”と言った時のスカルを思い出した。
赤い瞳を純粋に綺麗だと感じた。
でも、真っ直ぐな瞳を見返す勇気はなかった。
「ん‐、分かんない!でも、悪い人じゃないって感じするけどなぁ…」
窓から那佳へと視線を移し、佐和子は笑って言った。