伸び上がってアヤさんの肩越しにその向こう側へ目を遣ると、一人の老婆が職員に付き添われて歩いて行くところだった。 ふと彼女のズボンの裾を見ると、泥状の何かが漏れ出している。 「それ」が床に落ちたのを見た途端、五寸釘を打ち込まれたかの様な激しい痛みと衝撃が頭のてっぺんに刺さり、体の真ん中を突き抜けて行った。