「就職するって決めてたけどさ。さやは大学行くし、やっぱ少し距離感じる」

「そんなことないよ。一緒に住むんだよね? 今よりもっともっと近くなれるよ」

「そだな……」

「当麻くん、寂しがり?」

「ん……そーかも。さや限定だけど?」

当麻くんは私の肩にそっと腕をまわし、そのまま引き寄せた。




潮風で乱れた髪が、当麻くんの方へとなびく。

髪をよけるように、もう片方の手で私の頬から耳の部分に触れると……

当麻くんは私の顔を覗きこんできた。

「……なんでジッと見るの?」

「こーしてたいから」

キスされるんじゃなく、

こうやってただ見つめられると……ハズかしいよ。




「さ。お弁当食べよ。そろそろお腹空いてきたね」

「もーちょっとだけ、こうしてていいか?」

当麻くん、どうしたの?

なにも言わず、ただ私の顔を優しく見つめてるだけ。