ちょっとふてくされた直也にフォークを近づけて「あ~ん」って言うと、素直にあ~んってする

彼の右手がアタシの足の上で迷子になったみたいに動いてる



アタシもショートケーキをほお張った



「おいしい」



直也がケーキを買ってる姿、見たかったな



想像して肩をすくめた


「みずき」


何かを言いかけた彼に、また「あ~ん」ってする


言葉をさえぎられて眉根を寄せつつもあ~んって……



どんどんと姿を消していくケーキに少し心がざわついた



食べ終わったら、どうなっちゃうんだろう



またショートケーキを口に運ぶ


甘くて、ちょっと不安


直也がアタシの口元をじっと見つめてるから、ドキンと胸が高鳴った