ドアを開いて玄関に入ると、ふと直也と目が合った

高いヒールのブーツをはいているからか、いつもより目線が近い



直也が靴下を脱いであがる


リビングへ向かう後ろ姿は、部活から帰って来て家で着替えてから来たのか制服じゃない


そんなことに今更気づいた


緑のパーカーにジーンズ……寒そうな素足


アタシもブーツを脱いであがる
直也の堂々たる態度を見ていると、ここはまるで自分の家じゃないみたい

間違って「おじゃまします」って言っちゃいそう


かばんを玄関に置きっぱなしのまま静かにリビングへと向かう

直也が電気をつけないから暗い


部屋に入って横のスイッチに手をのばすと、そこに立っていた直也に気づいて驚いた



「わぁっっ!…もう!

びっくりするじゃん!!

電気つけてよ」



表情ははっきり見えないけど、不機嫌そうに壁にもたれて腕を組んでいる