直也の長い腕が寺野の肩をつかむと、何が起こったのかわからないような時間が過ぎて


気づくと寺野がふらついていた


……殴った??


「みずきにキスしたお返しだよ」



え??


今、“キスした”って言った???



「行くぞ、みずき」


腕をつかまれる


その時直也の体が前につんのめるように傾いた


振り返ると一瞬見える寺野の足


……蹴った???


「宇佐ちゃんをほったらかした罰だよ」




アタシの腕を離した直也が寺野に体を向ける



「ちょっと!もう!!」



慌てて直也の腕をつかむ


一触即発


直也が舌打ちをしてアタシに引かれるまま再び寺野に背を向けた





「おい、秋山……


お前、靴下のままだぞ」




直也と同時に下を見る



確かに、靴……はいてない




直也はそんなこと気にもしてないかのように家へと向かった