電車を降りて、家までの少し暗い道程を歩く

クリスマスの街を歩いた余韻が残ってる


「楽しかった、クリスマスを孤独に過ごさずに済んだよ、ありがとうね」

「俺も、楽しかったよ、いいね、下心がない女子って」


アタシは寺野を横目でにらむ


「そういう発言、寺野のファンに聞かれたら怒られるよ??」


そういえば、食堂で激しくにらまれたっけ??

派手なネイルの女の子に……


「変わってんのかな、俺、自分以外の男に惚れてる子見てると、ものすごく欲しくなるんだよね」


「そのゆがんだ思考、直した方がいいよ、身を滅ぼすよ??」


寺野に惚れた女の子に同情するよ……


「あ、あれ、家」


そう言って数軒先を指差した


どんどんと近づいていく


アタシの家も、隣の家も電気はついてない




直也、まだ帰ってないんだ




これから訪れる孤独を予感して、少し体が震えた