最後にアクセサリーショップに入った


季節柄、ペア物が多い


アタシはショーケースに顔を近づけてリングを眺めていた

息でガラスが少し曇る


“いい、みずき、指輪なんてのは自分で買うもんじゃないんだよ、男に買ってもらうもの”


酔って帰ってきた母親がアタシ相手に管を巻いて話したセリフが今も頭に残っている

だからアタシは自分でリングだけは買ったことがない


いつか、誰かがアタシに買ってくれたりするんだろうか


それは、誰??



「秋山はつけそうにないね、こうゆうの」


アタシの横から同じように寺野が覗き込む


「……だね」

「俺の彼女になるなら、おそろいで買ってあげてもいいよ」


腰を折り曲げた体勢のまま

顔だけ彼に向けると「微妙に上から目線」そう言って笑った







直也はクリスマスパーティが終わったらうちに来るのかな



余計な心配をつれて


夕闇がやってくる