大きなクリスマスツリーの下で待ち合わせ


アタシがつくころにはもう寺野が来ていた


「あらま!」


アタシの姿を見て寺野が満足そうに微笑む


「かわいいかっこしちゃって、おデート??」

「からかわないでよ」


寺野の腕をトンと叩いた

その手を握られる


「え??手つなぐの??」


クリスマスというイベントをただ下心なしで楽しむはずでは??


「だって、宇佐ちゃんかわいいんだもん!俺の彼女って周りに思わせたい」

「彼女じゃないし」

「そんなこと、周りは知らないでしょ?」


寺野のダウンジャケットはアタシのブーツと同じ深い藍色だった

制服とは違う彼に不本意ながら少しドキドキする


直也とずっと居たから気づかなかったけど、意外と背も高いんだ


恋愛対象から除外されてたから忘れてたけど……


そういやこの人、めちゃくちゃモテるんだった




今更……



ちょっと笑ったから寺野が「どした?」って顔をこっちに向けて

思わずアタシはぶんぶんと首を振ると視線を下に落とした




寺野のこじゃれたスニーカーが目に入った