12歳の時、初めて彼と出会った。 「真広ちゃん? ピアノ上手いね」 初めて聞くその声は、とても優しい声だった。 「……誰?」 「俺は、優太」 「…なんでここにいるの?」 「遊びに来たんだよ、母さんに連れられて」 そう言って、私の隣に座った。 「俺もちょっと弾けるよ、簡単な曲くらいなら」 そう言って、奏でたピアノは私なんかよりも断然うまかった。