彼女の表情が、みるみるうちに泣きそうな表情になる。


「す、き……?

私が……アナタを……?」

「せや」


彼女の胸にそっと手を置く。


「今、胸苦しない?」

「苦し、い」


トクトクと速いテンポで脈打っている彼女の心臓が愛しい。


「今日、ボクが女と歩いてるん見て、なんで怒ったん?」

「……わかんない」

「嘘つきなや。

ほんとは分かるやろ?」


しばらく黙ってから、震える唇を開く。


「わかんないけど……なんか、すごく嫌だった」


そないな可愛いセリフ、そない可愛らしい声で囁かれたら、もう堪らない。


今にも消えそうなその声を、少しも残さんと掻き集めて、ずっとずっととっておきたい。


「それ、ヤキモチって言うんやで?」


極上の甘い声で、そう優しく教えてあげれば、彼女の大きな目ェは更に大きく見開かれる。


「ヤキ……モチ?」


彼女の瞳に映し出された自分の顔は、幸せそうに歪んでいる。


「じゃあ私……昔からいっぱいいっぱいヤキモチやいてた……」

「ほんなら、昔からいっぱいいっぱいボクんこと好きやったってことや」