ガチガチに硬直した私を見ると、再び楽しそうに笑い始める。
「別に一緒に入ろうなんて言うてへんよ?」
「いや……もう遅いし、私帰らなきゃ……」
「そんなん泊まってったらええやん。
もうボクお酒飲んでもうたから車で送られへんし、夜道1人で歩かすなんてもってのほかやしな。
着替えはボクん適当に着ればええし、家には連絡しといてあげるさかい」
「で、でも……」
「ぐだぐだ言いなや。
はよ入らへんと、ここで脱がすで?」
半ば強制的にお風呂場に連れて行かれれば、それ以上何も言えなくなる。
「ほなごゆっくり」にんまり笑ってキッチンに引き返していく彼の後ろ姿を見送ってから、湯船に張られたお湯を見つめた。
「お泊まり……て」
小さい頃はよくお互いの家に泊まったりしてたけど……それはあくまで小さい頃の話で。
私は高校生、かたや大学生、もう2人とも立派な女と男。
その男女が同じ屋根の下、一晩共に過ご……。
「ていうか寒い」
濡れた服が冷えて体温が奪われ、腕に鳥肌が立っている。
……風邪はひきたくないしね。
終始ためらいながらも、服を脱いでお風呂の扉を閉めた。